LOUVRE - DNP MUSEUM LAB
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作品紹介
ルーヴル - DNP ミュージアムラボ 第4回展 都市スーサとその陶器、イスラム時代の創成期
スーサで発見された美術品は、一都市からの出土品という範囲を超えて、広く、イスラム時代初期、そのうちの最初の数世紀の工芸品の進化の過程を示しています。今回の展示作品の「受け皿」や「水差し」が示す、古代の装飾様式の踏襲から、青と白の色使いやラスター彩の皿が見せる、イスラム独特の工芸品の進化まで、スーサの工芸品は、様々な陶工技術を通して、飛躍的な発展の只中にあったひとつの芸術の様を、私たちの眼前に生き生きとよみがえらせてくれます。
水差し

8-9世紀
イラン、スーサ
粘土製胎土、型押文、スリップ(化粧土)彩
高さ 11.5cm、 直径(胴) 8.5cm
パリ、ルーヴル美術館

© Musée du Louvre/Raphaël Chipault. 2008
この水差しは、いくつかの点から古代の工芸品を想起させます。まず、そのかたちは、古代の金属製の水差しによく似ています。装飾と素材は、つやのある表面と非常に繊細な型押文で知られる、ローマ時代の印章文様の陶器を思わせます。しかしこの水差しに関しては、ためらうことなく、スーサがアラブ人に征服された後に制作されたものといえます。というのは、作品の底には、残念ながら部分的にしか見えませんが、アラビア語の署名が入っています。そこには、「アマル(〜作)」という言葉から始まる文字が刻まれています。
受け皿

7-8世紀
イラン、スーサ
粘土製胎土、無釉、型押文
高さ2.6cm、幅11.5cm
パリ、ルーヴル美術館

© Photo RMN - ©Jean-Gilles Berizzi
型で装飾を施されたこの優美な受け皿は、未だに謎を含む作品です。今日でも、その用途は依然として不明です。しかし、その装飾の起源については明らかになっています。これは、産声をあげたばかりのイスラム美術における古代の装飾様式の踏襲の一例です。ぶ厚い縁(ふち)に囲まれた中央には、輪が施されています。型で押された装飾は非常に繊細で編み込みリボンの枠どりをもち、この枠どりは縁の途切れている部分で外側に突き出しています。そして、編み込みリボンの線は、対角線上に内側を4つの地に分けています。4つの部分には、それぞれ、ブドウの枝、ザクロ、ドングリ、ブドウの房、といった異なる植物の蔓草文様(つるくさもんよう)が配されています。蔓草文様というのは、アジア全域に伝播していた古代の装飾に由来するもので、この文様から、この作品の制作年代をイスラム時代の初期と推定することができます。
半パルメット文の水差し

8世紀末-10世紀
イラン、スーサ
粘土製胎土、不透明釉の上に絵付け装飾
高さ12cm 、直径(最大) 11.7cm
パリ、ルーヴル美術館

© Photo RMN - ©Jean-Gilles Berizzi
倣文字文の鉢

8世紀末-10世紀
イラン、スーサ
粘土製胎土、不透明釉の上に絵付け装飾
高さ8.1cm 、 直径(最大) 10.4cm
パリ、ルーヴル美術館

© Photo RMN - ©Jean-Gilles Berizzi
この2点の作品は、イスラム時代の初期に白釉藍彩陶器が制作されていたことを示しています。750年頃、陶工たちは、イランやイラクの港に大量に輸入されていた中国の磁器の白さを真似ようとしました。彼らは粘土製の胎土で作った陶器を、不透明で白いガラス質の釉薬層で覆いました。こうして生まれたのが、今日ヨーロッパで「ファイアンス陶器」として知られる白地色絵陶器の技法です。装飾は酸化コバルトを使って描かれます。その装飾には、古代の装飾パターンから解放された、イスラムならではの意匠が表れています。鉢には、アラビア文字を模倣した線が描かれています。イスラム美術では、文字自体が装飾の要素として扱われるという特徴があり、純粋に装飾目的の、アラビア文字を真似た意味をなさない偽の文字が作られるほどでした。一方、水差しには、様式化したシュロの葉文様であるパルメット文を半分にした文様が施されていますが、これは、古代の装飾要素に対するイスラム独特の解釈を示しています。
植物文様の皿

9世紀
イラン、スーサ
粘土製胎土、不透明釉の上にラスター彩
高さ4.7cm、直径(最大) 25.8cm
パリ、ルーヴル美術館

© Musée du Louvre/Raphaël Chipault. 2008
この皿には、イスラム美術の非常に重要な技法である、ラスター彩の装飾が施されています。ラスター彩は、白い表面に金属酸化物をのせて還元焼成することによって、金属性の輝く光沢をもつ装飾を得る技法です。ラスター彩の技法はきわめて複雑なもので、窯の中の焼成温度をよく知る必要があります。この技法は9世紀から19世紀にかけてイスラム美術で使用されていたものでした。この技法には様々な変型も現れます。今回展示されている皿に使用されているのは、多色彩色のラスター彩です。ラスター彩では、金属酸化物のなかの銅と銀の割合を調整することによって、異なる色を作り出すことができます。またこの意匠は、メソポタミアで作られたラスター彩の工芸品に非常によく似ており、特にチュニジアのカイラワーン(ケルアン)のラスター彩タイルの意匠に様々な相似点が見受けられます。
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