ルーヴル - DNP ミュージアムラボは、ルーヴル美術館とDNPがお互いのノウハウを持ち寄り、展示ごとに特別に考案されたマルチメディア・ツールを活用することによって、美術館におけるメディアシオンのあり方について試みる場です。第6回展では、次のテーマのもとに開発を行い、美術館のメディアシオンについての新しい提案を行っています。 |
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美術館、博物館で広く利用されている解説ツールを、マルチメディアを活用することで機能拡張し、より直感的でわかりやすいメディアシオンツールに進化させるための試みとして、「標本箱」を利用したコンテンツを開発しました。作品の素材見本を納めた標本箱の上に設置されたディスプレイを来館者自らが前後させると、その動きに同期して、制作の工程を段階ごとに分析するアニメーションが表示されるようになっています。既存の慣れ親しんだ解説ツールを基点に開発することで、解説内容を来館者が容易に推測しやすくなり、ユーザビリティにも配慮されたコンテンツ設計を行うことができます。 |
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「隠された事実」として専門的な情報をわかりやすく可視化 |
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ミュージアムラボでは、X線や紫外線による科学的調査の分析結果など、一見しただけではその意味を理解することが難しい専門的な学術情報を、研究者が作品の「隠された事実」を見つけ出すプロセスを追体験するように高精彩な映像番組などを通じてわかりやすく視覚化し、理解の糸口として提供しています。
今回は、現存する遺物(作品)と学術調査結果をもとに、肉眼では見ることができない絵の具の塗り重ねを、高度なデジタル画像処理によって一層ずつ復元し、制作のプロセスを可視化しました。作品の物質的な構成を、直感的な理解へつなげられる方法として提案しています。 |
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関連作品の多様性と豊かさを限られた展示空間の中で実現 |
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作品の展示空間におけるマルチメディアのあり方は、美術館にとって大きな関心事です。第6回展では、展示室内の限られた空間の中で、作品の多様性と豊かさを感じさせることを試みました。作品の実寸大画像を大画面に一覧性をもたせて表示し、画面全体をループさせながら表示作品を入れ替えることで、スペースや展示点数に制限の多い展示空間での、関連作品の比較展示に対するマルチメディアならではの提案を行っています。 |
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第6回展では、美術館で作品を鑑賞するときの来館者の関心と必要に応じて、いくつかの情報提供手法を試みています。
ひとつは、作品群全体を見渡し、その中から興味を抱いた作品に近づいてよく見る、という自然な関心の向かい方に沿った作品画像の表示システムです。情報の全貌をとらえやすい「大画面による一覧表示」と、接近したときの来館者の期待を裏切らない「画質の維持」を小型プロジェクタを利用したマルチ画面によって両立させました。
もうひとつは、作品の細部をもっとよく見たいという欲求に応えるものとして、画面を指でなぞった軌跡に沿って画像を拡大できるコンテンツを開発しました。実寸大で表示された作品画像の、関心のある部分だけが拡大されるので、実物の大きさや物体感を維持しつつ、虫眼鏡を使うような感覚で仔細に観察を行うことが可能です。 |
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情報を発信する側と受け取る側、双方に配慮したガイダンス設計 |
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ミュージアムラボはプロジェクトのスタート時点から、美術館の体験をよりスムーズで充実したものにするパートナーとして、ガイダンスに関するさまざまな機能の提案を行ってきました。美術館が提供したい情報を、来館者の必要性や利便性、視覚や聴覚といった感覚の特性を考慮して分類し、発信・受信の方法にも配慮したガイダンスの実現を目指しています。
たとえば、ミュージアムラボのガイダンスの基本的な機能である特定のエリアに入ると自動的に音声が配信されるシステムは、同じ画面を見ながら来館者が希望する個別の言語配信を実現するために導入されていますが、実際の美術館では、提供施設の案内、緊急のお知らせなど、来館者に等しく伝えなければならない情報の提供に有効な手段として期待されます。
また、第6回展からすべてのガイダンス端末に画像認識技術を搭載し、観覧の手助けとなる補助機能を拡充させています。来館者が、各鑑賞システムの近くに印刷されたピクトグラムを、ガイダンス端末のカメラで撮影すると、操作方法などのヘルプ機能が、実写映像にCGやアニメーション、文字情報を重ね合わせた映像によって提供されます。 |
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第5回展に引き続いて第6回展では、来館者自らが作品と自身の関連性を考える「動機付け」の問題に取り組んでいます。第5回展は展示全体を通じて個人的な関心や好奇心を喚起するような演出を行い、「作品を解釈する」という行為によって、来館者の参加意識を促す試みを行いました。
今回は、WEBサイト、展示、アクティビティという3つの場面それぞれで、「肖像を残すことの意味」を問いかけることによって、作品への関心を呼び覚ますとともに、来館者自身の関心に引き付けて考えやすいコンテンツを展開しています。 |
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