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「豪華な色彩の縁飾り」文様の蓋付鉢(ポ・ア・オワル):1784年8月26日に王妃マリー=アントワネットに納品。
受け皿:1784年6月22日にルイ16世からスウェーデン王グスタヴ3世へ贈られた食器セットの追加品として同年9月7日に納品。
ルーヴル美術館、工芸品部門
© 2010 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola |
アジアでは早くから製造されていた白い肌の磁器。ヨーロッパにも輸入され、人気を博していました。この美しい磁器を自分たちの手で作りたい。そう考えたヨーロッパの人々が、様々な試行錯誤を経て、その謎に包まれた製法にたどりついたのは18世紀のことでした。
中でも真っ白な地に金や、繊細な色使いの装飾が施されたセーヴル磁器は、文化先進国フランスを象徴するものとしてヨーロッパ中の憧れの的でした。そのなめらかな肌合いと緻密な装飾は熟練した職人の手によってしかなしえない、極めて貴重なものだったのです。このセーヴル磁器が製造されるようになったのはルイ15世の時代。貴重で美しいセーヴル磁器は、フランス王室から他のヨーロッパの宮廷へ贈られる「外交上の贈り物」として使われました。
当時のヨーロッパではプロイセン(現在のドイツ)と、そこに攻め込まれたオーストリアとが対立していました。オーストリア、ハプスブルグ家の皇后マリア=テレジアはそれまで300年も敵対していたフランスと手を組み、プロイセンに対抗します。セーヴル磁器は互いの同盟関係をより強くするために贈られたのです。ルイ15世からマリア=テレジアに贈られた、約200ピースの食器セットのうちの「花輪飾り」の皿はその一つ。これはのちにフランス王妃となるマリー=アントワネットの誕生にもつながります。
この展覧会では18世紀のフランス王朝からオーストリア、デンマーク、スウェーデンなどの国へ贈られたセーヴル磁器を、その技法や当時の宮廷の食卓儀礼を織り交ぜ紹介します。華やかなセーヴル磁器に秘められた歴史物語をお楽しみください。
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