LOUVRE - DNP MUSEUM LAB
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開発テーマ
ルーヴル - DNP ミュージアムラボ 第9回展 ゴヤの≪青い服の子供≫ ルーヴル美術館のスペイン絵画コレクションに入るまで
1.ルーヴル美術館へのマルチメディア・ディスプレイの導入
第7回展、第8回展に引き続き、2種類のマルチメディア・ディスプレイが、ルーヴル美術館絵画部門のスペイン絵画展示室(ドゥノン翼の2階)および休憩スペースに導入されます。
世界中から訪れる来館者の多様性に対応したユーザインタフェース、年間約900万人の来館者数、歴史的建造物である宮殿への設置といった条件を考慮したハードウェアの開発が求められます。また、常設展示室での解説システムとして、本来の作品鑑賞や来館者の流れを妨げず作品鑑賞の一部として機能する工夫が必要となります。
歴史に関連する情報へ感覚的にアクセスさせる手法と複数観覧者での解説システムの共有
問題意識
ルーヴル美術館におけるスペイン絵画コレクションの歴史を伝えるディスプレイとして開発しました。スペイン絵画展示室(ドゥノン翼の2階)近くの休憩スペースに設置されます。
知識的な基盤が多様な観覧者にも歴史上のトピック的な情報からコレクションの変遷までが理解可能となるように、なじみが薄い時間軸上で語られる情報にいかに興味を持ってもらうかを課題としました。また共有スペースに設置される多人数での共有型ディスプレイとなるため、複数観覧者による同時操作、後方から観覧する非操作者も含めた情報共有、またそれらと同時に多言語対応を実現するインタラクションデザインが求められます。

ミュージアムラボの提案
ルーヴル美術館のスペイン絵画コレクションの変遷を俯瞰させるとともに、時系列に沿った情報提供を実現するため、大型の壁面設置ディスプレイによるインタラクティブな年表を採用しました。ダイナミックな映像表現を利用することで年表への興味喚起を促すとともに、操作誘引の演出を行います。複数観覧者による操作の共有を促すため、共有エリアと個人用エリアの表示を工夫しました。また、後方での観覧者への情報共有を手段として動的なトピック情報の提供を行います。
作品の目の前での「解説情報のあり方」
問題意識
ルーヴル美術館における現在のスペイン絵画コレクション作品への理解を助けるディスプレイとして開発されました。スペイン絵画展示室(ドゥノン翼の2階展示室26)に設置されます。
作品の目の前で、作品鑑賞の助けとなる解説情報を提供するために、提供する情報の内容、質、量、見せ方の工夫が必要となります。多様な観覧者が持ちえる様々な疑問に答えるため、内容、質、量の異なる情報をできるだけシンプルに提供することを課題としました。

ミュージアムラボの提案
スペイン絵画に親しめるようにするために、ルーヴル美術館のスペイン絵画コレクションの代表作品を入り口に、作品鑑賞だけでは分からない解説情報を提供し、解読の鍵を与えます。
直感的な興味をきっかけとした情報提供を実現するため、視覚イメージを中心としたメニュー構成とし、複数の切り口から情報へアクセスできるようにします。
2.イントロダクションとして機能するマルチメディア・ディスプレイ
問題意識
観覧体験のイントロダクションとして機能するマルチメディア・ディスプレイには、展示空間への興味喚起を促すとともに、展示全体の構成を理解させる役割を持たせます。また、展示会の入り口で混雑を引き起こさないための工夫も必要になります。

ミュージアムラボの提案
垂直設置の大型ディスプレイでの短時間の映像番組としてイントロダクションを行います。今回の展示を担当するルーヴル美術館の「学芸員」自らが話者となり、観客に語りかけることで特別感を演出します。日常接することのない人物・専門家への興味をきっかけとするとともに、観覧者と同じ地平面からの等身大デジタルサイネージにより、臨場感を増す効果を狙います。映像内の話者の視線により、観覧者の注意を映像空間内の作品へ誘導し、展示空間へ自然にいざないます。
3.電子キャプションによる作品前での情報提供
問題意識
作品の基本的な情報を提供するキャプションとして機能するため、「情報保障」をいかに実現するかが課題となります。「言語及び視覚機能の多様性」を持った観覧者への対応をテーマとします。

ミュージアムラボの提案
電子的な情報だけでなく印刷による固定情報を用意しておき、機器の障害時にも最低限の情報提供を保障します。また、より多様な観覧者への対応のため、(1)言語、(2)画面表示サイズ、(3)コントラストの調整機能を設け、多言語化とアクセシビリティの向上を図ります。
4.作品との関わり方を体験する展示空間
問題意識
作品の<近く>でのマルチメディア・ディスプレイには、本来の作品鑑賞を妨げないように、提供する情報の内容、質、量、見せ方の工夫が必要となります。
今回は、<親密感を持って接する><分析的アプローチで接する>という2つの異なる作品への関わり方をいかに実現させるかをテーマとしました。
さらに<分析的アプローチ>については、《絵画に描かれた構成要素》と《絵画の物質的な側面》それぞれにアプローチする学芸員の知的プロセスを、知識として受け取るだけでなく、より感覚的に理解してもらう方法に取り組みました。

ミュージアムラボの提案
観覧者が作品へアプローチする姿勢を切り替えやすいように、展示空間の隣には、学芸員が分析的なアプローチを行うラボスペースを設け、鑑賞スペースとは異なる空間演出を行いました。
ラボスペースでの《絵画に描かれた構成要素》へアプローチするコーナーでは、CGシミュレーションを体験できるインタラクティブな解説システムを採用しました。構成要素のバリエーションを他のゴヤ作品と比較するだけでなく、その要素が選択される過程を体験することで、学芸員の分析的な視点への理解を促します。
また《絵画の物質的な側面》へアプローチするコーナーでは、物体への興味や行為を直感的に情報へリンクさせるタンジブルユーザインタフェース(TUI)を採用しました。物質的な構造を操作過程を通じて体感してもらうために、層の順番を探求させるインタフェースとし、物質的な構造が構築されていく過程への興味と理解を促します。さらに、操作領域(立体)と映像表現(平面)を一体化させる、プロジェクションマッピングを使ったインストラクションにより、スムーズな操作への誘引を図ります。
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