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紀元前375-350年頃/
高さ21.0cm
19世紀当時のギリシア彫刻のイメージを覆す生き生きとしたティトゥーの踊り子の姿に、多くの芸術家が芸術的な着想を得ました。タナグラの典型と考えられていましたが、実際はアッティカ地方の都市国家アテナイで制作されました。優美な線やマントの襞の繊細な表現は、のちにアテナイやタナグラ、そして地中海全域で隆盛する「タナグラ様式」を先取りする特徴を示しています。慣例的に「踊り子」と呼ばれていますが、婚約中の女性を守護する「ニンフ」を表すとも考えられています。 |
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紀元前330-200年頃/
高さ25.3cm
テラコッタの小像は、神々への奉納品として神殿や、墓地といった場所で発見されました。外衣を纏った女性は、ボイオティア地方の都市国家タナグラの地で出土し、布を身にまとう女性像というタナグラ様式に典型的な主題を示した作品です。小像ながらも彫刻的で優美なスタイルとドレープの美しい表現は、ギリシア彫刻が追求した女性の身体と衣服をテーマとした人体表現のある到達点を示すものといわれています。また、曲線の表現やポーズなどに、古典的彫像に女性的な感覚を取り入れた紀元前4世紀の彫刻家プラクシテレスの影響を見てとることができます。 |
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紀元前150-100年頃/ 高さ42.0cm
アレクサンドロス大王の遠征により、ヘレニズム期になるとタナグラはギリシア世界全体、地中海全域に、特に東方に広がります。このファイノメリデの像は小アジアの都市国家ミュリナ(現在のトルコ)で盛んになった、タナグラ様式の延長線上の、通称「ポスト・タナグラ」と呼ばれる様式に属します。ミュリナの墓の石棺から出土した約30点の埋葬品のひとつです。この小像は、その大きさや鮮やかな色彩、ドレープや身体、髪の表現が非常に印象的な作品です。テラコッタ彫像のひとつの到達点を示すものとされています。羽根をもつ勝利の女神ニケの一種を踏襲していますが、後ろにまわした腕の位置から、別の人物像と組み合わされ、勝者が敗者の背中に乗る遊び「エフェドリスモス」を表す群像だったとも、推定できるでしょう。 |